品質要件についてのエントリが続きます。
今回は「ユーザーにとっての品質(=利用者品質)」を考えてみたいと思います。
まずは前回に引き続き、David Chappell 氏のモデルを用いてみていきましょう。
表中 “ユーザー” 列にチェックを入れている項目が利用者にとって関わりのある品質側面となります。
「開発者品質」とは異なり、主に「機能」面に関連する項目にフォーカスされていることが分かります。
通常、ソフトウェアの内部構造や製造のプロセス(=どのように作られたのか)はブラックボックス化されており、ユーザーの立場から直接うかがい知ることはできません。またソフトウェアを利用するという観点からは知る必要もありません。
ユーザーは、開発者から提供された「機能」を介して「外側から」その振る舞いを観察/評価するのです。
これはまた、ソフトウェアは内部的品質と外部的品質の2つの品質評価側面を持っているということを意味しています。
この内部的品質と外部的品質については、ISO/IEC9126 にも定義されています。
ソフトウェアの利用時にみられるいくつかの「品質の特性」を系統化したこのモデルですが、やはりここでも、主にその仕様面に着目した「作る側の視点」と、目的/狙い/効果に着目した「利用者側の視点」という2つの側面から品質の全体像を捉えようとしていることがポイントです。
まとめ:
- 利用者品質は主にソフトウェアの機能面によるものである
- ソフトウェアには内部的品質と外部的品質があり利用時にはその外部的品質が観察される
- ソフトウェアはその利害関係者らがそれぞれかわりあいをもつ複数の品質側面によって全体的/最終的な品質が決定されている
以上、今回は2つのフレームワークを紹介しそれぞれ利用者の品質をどのように捉えられているのかを確認しました。
成り立ちもアプローチも異なる2つのフレームワークですが、ソフトウェア利用の視点から品質を計測するための観点/下敷きとしてまだまだ活用できそうです。