グローバルにおける品質の考え方

こんにちは。ヒューマンクレストのマイです。
私はベトナム出身で高校を卒業してから日本に来ました。母国と違う国に住み、今まで自分にとっての常識や考え方が覆されたことが少なくありませんでした。今回は自分が経験したことに基づいて品質の考え方について話したいと思います。

早速ですが、皆さんは物を買うときに何を意識していますか。値段?見た目?最近ECサイトでのお買い物が当たり前のように行われており、口コミなどを見て買い物をする人も少なくないですね。しかし、店舗での購入であれ、オンラインショッピングであれ、一番意識しているのはやはり「品質」ではないでしょうか。

我々が普段何気なく使っているこの「品質」という言葉ですが、「品質とは何か」と聞かれてすぐに答えることができるでしょうか。

品質とは?

ISO9000:2005では、以下のように定義されています。
「品質とは本来備わっている特性の集まりが要求事項を満たす程度である」
正直、何言っているのかさっぱり分かりません。

一方、JIS Z 8101:1981では次のようになります。
「品物またはサービスが、使用目的を満たしているかどうかを決定するための評価の対象となる固有の性質・性能の全体」
この定義は分かりやすいですね。要するに、品物やサービスが顧客からの要求に合っているかを決める特性ということです。

例えば、ソフトウェア品質には以下の特性があります。

狩野モデル

品質を考えるときによく使われているのは狩野モデルです。狩野モデルでは、当たり前品質、魅力品質、一元的品質があります。

当たり前品質とは、不充足だと不満ですが、充足されていれば当たり前と思われる特性です。例えば携帯電話が通話・メールができるのは当たり前品質です。

一方、魅力品質は充足されれば満足ですが、不充足でも仕方ないと思われる特性です。例えば「スマートフォンでテレビが見られる」というのは魅力品質です。テレビが見れれば満足ですが、見れなくてもそれほど不満を感じないですね。

また、一元的品質は不充足だと不満であり、充足されると満足である特性です。満足度は充足度と線形的な関係があります。例えばスマートフォンのバッテリーの持ち時間は一元的品質です。

グローバル観点

この狩野モデルですが、グローバルな観点で考えるときに気をつけなければならない点が様々あると思います。

まずは国・地域によってある種類の品質を好む傾向があると言われています。例えば、日本では基本的な性能がきちんと作動しているのが必須であり、当たり前品質を好む傾向があると言われています。一方、アメリカでは魅力品質が充実すれば多少バグがあってもそれほど気にしないようです。つまり、魅力品質を好む傾向があります。

しかし、よく忘れられがちなのは国・地域によって当たり前品質、魅力品質、一元的品質そのものの認識が違うことです。たとえば、ベトナムの喫茶店の場合、個人営業でも無料Wifiが使えるのは当たり前のように思われています。無料Wifiが使えない喫茶店は必ず不満を感じさせます。つまり、ベトナムでは「喫茶店で無料Wifiが使える」のは当たり前品質になります。

一方、日本では、スターバックス、ドトールなど、大きなチェーン店であれば、無料Wifiが使えますが、個人営業のお店ではあまり見られないですね。しかし、無料Wifiが使えなくてもそれほど不満を感じないようです。つまり、日本では「喫茶店で無料Wifiが使える」のは魅力品質になります。

結論

国・地域ごとにそれぞれの特徴があって、常識や考え方も違うのです。実際に行ってみないと中々気が付かないことも多いです。もの・サービスの品質を考えるときも同じです。せっかくいいものを作っても、相手が望んでいるものとは違うものであれば意味がありません。相手を理解し、相手の立場に立って考えるのは大事です。特に海外向けの場合、その国の特徴・考え方をきちんと調べることが欠かせないです。また、自分の思い込みを捨て、狭い知識で判断せずに、常に視野を広げることを心がけることも大切だと思います。

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