こんにちは。
Ques事務局の宮本です。
前回は、ソフトウェアQAに関わるエンジニアのキャリア形成に関して、
登竜門のテスターからテストリーダーまでのキャリアを考えてみました。
今回は、テストリーダーから分かれる二つのキャリアである、
品質マネジメントの専門家であるQM(クオリティマネージャー)と品質エンジニアリングの専門家であるQAE(クオリティアシュアランスエンジニア)についてキャリアを考えてみたいと思います。
まず、テストリーダーを深めていくと今後自身がどういう方向でキャリアを伸ばしていくか、2つの道に分かれていくと思います。
よりマネジメント寄りのQAを目指すのか?よりテクニカル寄りのQAを目指すのか。
QM(クオリティマネージャー)は、ソフトウェア開発プロジェクトにおいて、組織、プロセスを管理し、開発プロジェクトが円滑に回るようにマネジメントしていきます。主にプロセス品質にフォーカスした活動を行います。
QAE(クオリティアシュアランスエンジニア)は、メトリクス、テスト技法、品質分析・評価、テスト自動化を推進し、より専門性の高いエンジニアリングでソフトウェア開発を成功へと導く役割です。主にプロダクト品質にフォーカスした活動を行います。
どちらの道に進むにしても、JSTQB Advanced、JSTQB Foundationや日科技連主催のSQuBOKなどの資格を保有する事をお勧めします。
何故なら、QM,QAE共に開発者及びテストメンバーをリーディングする立場として、
体系化されたソフトウェアQA関連知識を用いて、メンバーに共通認識を持たせる事がプロジェクトの成否を分ける重要なトリガーとなるからです。
それではまずはプロセス品質を管理していくQMのキャリアから考えていきましょう。
品質マネジメントとは、ソフトウェア開発において、
品質計画、品質管理、品質保証及び品質改善の4つの活動を指します。
QMは大きく3段階のキャリアがあると考えます。
(1)プロジェクトレベル(個別)のソフトウェア品質マネジメント
(2)プロジェクトレベル(共通)のソフトウェア品質マネジメント
(3)組織レベルのソフトウェア品質マネジメント
です。
(1)プロジェクトレベル(個別)のソフトウェア品質マネジメント
まずは、自身が関わる個別プロジェクトのソフトウェア開発における品質マネジメント。
品質マネジメントの下位に定義づけされている品質コントロール(品質管理)ですね。
ソフトウェア開発において、必要な品質要求事項を満たす事に焦点を合わせた品質マネジメントの一部です。
プロジェクトに必要な品質要求事項を満たすために、品質を計画し、品質保証(受入試験、出荷判定)、品質改善していきます。
・品質計画のマネジメント(要求分析、アーキテクチャ、実装)
・レビューのマネジメント
・テストのマネジメント
・品質分析、評価のマネジメント(製品品質の分析・評価、プロセスの分析評価)
・運用・保守のマネジメント
を行います。
(2)プロジェクトレベル(共通)のソフトウェア品質マネジメント
個別プロジェクトの品質マネジメントが出来るようになると、次に複数に横断した、品質マネジメントへとキャリアを広げて行く事が望ましいでしょう。
・意思決定のマネジメント
・調達マネジメント(パートナーとのコミュニケーション)
・構成管理の環境構築とルール、そしてそのマネジメント(変更管理、バージョン管理、不具合管理)
・リスクマネジメント
・プロジェクトマネジメント全般
これらに関する複数プロジェクトの品質をマネジメントしていく役割です。
(3)組織レベルのソフトウェア品質マネジメント
会社全体として品質をどうマネジメントしていくか?
品質目標の策定、品質プロセスの構築、過去の傾向からオペレーショナル・エクセレンスの構築、これらを目標として組織全体を品質改善する役割です。
・ソフトウェア品質マネジメントシステムの構築と運用(品質マネジメントシステム、ソフトウェア品質推進活動、品質マネジメント組織)
・ライフサイクルプロセスのマネジメント(ライフサイクルモデル、プロセスモデル)の構築とマネジメント
・プロセスアセスメント・プロセス改善のマネジメント
・検査のマネジメント
・監査のマネジメント
・教育・育成のマネジメント
・法的権利・法的責任のマネジメント
等を行う役割です。
組織のボランチとして、目標達成のためにクオリティマネジメントシステムの構築と運用を行います。
今回はQMのキャリア形成に関して考えてみました。こうやってキャリア形成という視点から考えてみると、我々QAに関わる人々が如何にソフトウェア開発のキモとなっているかが理解できますね。
QA部門をお持ちの方、これからQA部門を立ち上げる方、QAサービスを提供している方に、本記事がQAに関わるエンジニアのモチベーションアップの仕掛けになり、組織作りの一助を担えれば光栄です。
次回はもう一つの道である、QAEのキャリアについて考えてみます。